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(9)第56回IAA国際商業車ショー(通称ハノーバーショー)
?ハノーバーショーの概要
今回で56回目の開催となった、IAA(Internationale Automobile-Ausstelling Nutzfahrzeuge)は、100年の歴史を持つ伝統あるモーターショーである。かつてはフランクフルトで乗用車とともに開催されていたが、1992年から商業車と乗用車の分離が行われ、これを機に商業車は開催場所もメッセで知られるハノーバーに移している。展示は、幕張メッセの3倍にあたる面積−23万7,000km2確保しており、ここにバスのほかライトバンなど小型の商業車から大型トレーラー・特殊な特装車までが一同に展示される。出展者数は1,114を数え、ドイツと周辺のヨーロッパを中心に34カ国から参加がある。バスは、どちらかというとバス専門メーカーよりもトラックなども生産する自動車メーカーの展示に重要なものが多い。特に地元のメルセデス・ベンツやMANなどは大きなホールを1棟そのまま使い、バスも路線バスから観光バスフルラインナップで展示する力の入れ様である。一方、地味だが部品メーカーのブースも充実しているのも隠れた特長である。なお、開催は隔年開催である。
以下の各モデルの詳細に入る前に、展示されたバスの全体的な傾向について述べる。床の高さでは、路線バスあるいは同様の用途を狙ったバスはいくつかの例外を除いて全て低床バス=ノンステップバスであった。前回は、インターシティ(座席数を優先した都市間路線バス、ただし日本の高速バス的なものではなく郊外を走るバスという意味である)にはまだまだ2ステップが多かったが、今回はほとんどがノンステップになった。カタログには、従来の高床車が残っているが、少なくとも話題・商談の先頭にいるのはこのセグメントもすでにノンステップのようである。
低公害バスは、展示内容を見る限り短期的にはCNGバス、長期的には水素を活用した燃料電池ないしは水素エンジンのハイブリッドが視野に入っているようである。電気エネルギーを主体にしたバスは、むしろトロリーバスや路面電車(トラム)との技術的融合を考えているようで、ディーゼルエンジン車との比較はあまり議論が進んでいないように思われる。なお、こうした低公害バスも当然ながら低床バスでの成立が前提条件であり、機器の配置には一様に工夫の跡が見うけられる。以下では、他の調査対象では触れられていない車を中心に低床バスと低公害バスの動向などを展示車からまとめる。
?各社の展示内容
・メルセデス・ベンツ
1994年前にケスボーラー社とEVOバスを設立したベンツは、シティバス2台と観光バス6台を出品した。このうち、シティバスはいずれもノンステップバスのO405Nシリーズの変形版である。1台は、比較的長距離の路線に使用されるO405NUのロング仕様O405NUL。IAAで発表された新型で、2軸車のままホイールベース部分を延長することで、全長を13.4mに延長している。ノンステップながら座席数を確保するため室内は通路部分のみが低く、ホイールベース間も室内の座席下は段上げされている。
もう1台はO405NKGで、これは逆にホイールベースを短縮し全長を10.5mにしている。フロントオーバーハングもリヤオーバーバンクもべースのO405Nそのままのため、ホイールベースは日本のバスでは全長9.5m級に相当する4.3mしかない。日本では保安基準で認められないホイールベースに対するリヤオーバーハングの大きさとなるが、ドアも

 

 

 

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